「そろそろ正社員になりたい」と思っても、求人サイトを開いた時点で手が止まってしまう——という声は珍しくありません。何から手を付ければいいのかが分からないまま時間だけが過ぎる、という状態です。この記事では、費用のかからない公的な支援を軸に、実際に何がどういう条件で使えるのかを、厚生労働省などの公式ページの記述を直接確認して整理します(出典はすべて2026年7月21日に原文確認。一部、確認日が異なるものは出典欄に明記しています)。

先に結論をまとめると、次の4点です。

前提を一つだけ整理しておきます。「フリーター」は、総務省統計局の統計FAQによれば厳密な定義が存在しないため、労働力調査では「若年のパート・アルバイト及びその希望者」を便宜上そう呼んでいる、という位置づけの言葉です。統計上は「今どういう働き方をしているか」という状態の分類であり、応募資格を制限する法令上の区分ではありません。正社員求人に応募できるかどうかは、個々の求人の募集要項に書かれた応募資格で決まります。以下、具体的な選択肢を制度ごとに見ていきます。

選択肢1: わかものハローワーク(正社員就職に特化した無料の専門窓口)

厚生労働省は、正社員での就職を目指す若者向けの専門窓口として「わかものハローワーク」を設置しています。公式ページの記載は次のとおりです。

わかものハローワークでは、正社員を目指す若者(おおむね35歳未満)を対象に、さまざまな就職支援を無料で行っています。

(厚生労働省「わかものハローワーク」より)

厚生労働省「正社員就職を目指す若者の皆さまへ」のページでは、対象がより具体的に「パート・アルバイトとして働いている方で正社員就職を目指す若者(おおむね35歳未満)」と説明されています。現在アルバイトで働いていることは、この窓口を使わない理由にはならないということです。

公式ページに挙げられている支援内容は次のとおりです。

設置数は、「わかものハローワーク」が全国21か所、「わかもの支援コーナー」および「わかもの支援窓口」が全国199か所と案内されています。利用の始め方については、公式ページに「初回は予約不要ですので、まずはお気軽に、わかものハローワークへお越しください」と記載されています。事前に準備を整えてから行く必要はないという案内です。

なお、学校卒業後おおむね3年以内の場合は、別に「新卒応援ハローワーク」があります。厚生労働省は対象を「大学院・大学・短大・高専・専修学校などの学生・生徒や、学校卒業後おおむね3年以内の方」と説明しており、こちらも全サービス無料と案内されています。

選択肢2: 地域若者サポートステーション(応募の前段階から相談できる)

「求人に応募する」より手前の段階——働くこと自体に不安がある、生活リズムを立て直したい、人と話す場に慣れたい——という状態のための窓口も、公的に用意されています。厚生労働省が委託して運営する「地域若者サポートステーション」(サポステ)です。公式サイトの記載は次のとおりです。

サポステでは、15歳から49歳までのお仕事をされていない方や就学中でない方たちを対象に、無料で就労支援を行っています。

(厚生労働省「サポステ[地域若者サポートステーション]」公式サイトより)

支援の範囲は、働くことの「悩み相談」から「職場定着」までとされ、「働き出す力」を引き出し、職場に定着するまでを全面的にバックアップする、と説明されています。設置数は全国179箇所(令和6年度)。利用の始め方は「お近くのサポステまでご連絡ください。(無料)」と案内されており、まず電話で問い合わせる形です。

対象年齢が49歳までと幅広い点は、年齢に不安がある場合に確認しておく価値のある事実です。ただし対象は「お仕事をされていない方や就学中でない方」とされているため、現在アルバイトで就労している場合の扱いは公式サイトの記載からは判断できません。利用を検討する場合は最寄りのサポステに直接確認してください。

選択肢3: ハロートレーニング(受講料無料の公的職業訓練)

「未経験でも応募できる求人が限られる」という壁に対して、公的に用意されているのが職業訓練です。厚生労働省は「ハロートレーニング」の愛称でこれを案内しており、受講料は無料(※テキスト代は自己負担)と明記されています。制度は大きく2つに分かれます。

制度公式ページに記載された対象
公共職業訓練(離職者訓練)主に雇用保険を受給している求職者の方
求職者支援訓練主に雇用保険を受給できない求職者の方

(厚生労働省「ハロトレ特設サイト」の記載に基づく)

アルバイトで雇用保険に加入していなかった、あるいは受給が終了しているという場合は、後者の「求職者支援訓練」が想定される枠組みということになります。実際、厚生労働省の求職者支援制度のページは、対象となる方の例として「雇用保険の適用がなかった離職者の方」「雇用保険の受給が終了した方など」に加えて、在職者について次のように挙げています。

一定額以下の収入のパートタイムで働きながら、正社員への転職を目指す方など

(厚生労働省「求職者支援制度のご案内」より)

つまりアルバイトを続けながら正社員を目指す形は、制度上も想定されているということです。「まず仕事を辞めて背水の陣で臨まなければならない」という前提は、少なくとも公的制度の設計上は置かれていません。申し込みの流れは、公式サイトに次の4段階として示されています。

  1. ハローワークで求職申込み・職業相談
  2. 訓練の受講申込み
  3. 面接・筆記試験等を受験
  4. 合格したら受講あっせん

ここで注意したいのは、受講にはハローワークが認めて「受講あっせん」を受けることが必要であり、かつ訓練ごとに選考があるという点です。申し込めば必ず受けられる制度ではありません。どの訓練コースが自分の住む地域で開講されているかを含め、最初の相談先はハローワークになります。

訓練中の生活費: 職業訓練受講給付金(月10万円)の要件

「訓練を受けている間の生活費はどうするのか」という現実的な問題に対しては、職業訓練受講給付金という仕組みがあります。金額は、職業訓練受講手当が月額10万円、これに通所手当(通所方法により支給額が異なる・上限あり)が加わる形で案内されています。

ただし、この給付金は訓練を受ける人全員が受け取れるものではありません。厚生労働省が示している支給要件は次のとおりです(すべてを満たす必要があります)。

(厚生労働省「求職者支援制度のご案内」および「ハロトレ特設サイト」の記載に基づく)

要件を読むと分かるとおり、本人の収入だけでなく世帯全体の収入・金融資産が見られます。実家で暮らしている場合、本人の収入が要件内でも世帯の状況次第では対象外となる可能性があります。出席要件が厳格である点も、受講を検討する段階で織り込んでおくべき条件です。ただし、給付金を受けられなくても訓練の受講料自体は無料という二段構えの制度になっています。該当するかどうかは世帯の状況によって変わるため、この記事の情報だけで結論を出さず、住所地を管轄するハローワークで確認してください(申込みの受付もハローワークです)。

選択肢4: トライアル雇用(「職業経験の不足」を前提にした制度)

職歴がないことそのものを対象にした制度も存在します。トライアル雇用です。厚生労働省の説明は次のとおりです。

職業経験の不足などから就職が困難な求職者を原則3か月間試行雇用することにより、その適性や能力を見極め、期間の定めのない雇用への移行のきっかけとしていただくことを目的とした制度

(厚生労働省「トライアル雇用」より)

この制度は、事業主側にトライアル雇用助成金が支給される仕組みとセットで運用されています。助成金の対象となる労働者には要件があり、公式ページでは、1週間30時間以上の無期雇用を希望していること、ハローワークまたは民間職業紹介事業者に求職申込みをしていること、紹介日時点で安定した職業に就いていないことなどに加えて、「紹介日前2年以内に、離職・転職を2回以上繰り返している」「紹介日時点で離職している期間が1年を超えている」などのいずれかに該当することが挙げられています。要件が細かいため、対象になるかどうかは応募前に窓口で確認する必要があります。

ここで押さえておきたいのは、「職業経験の不足」が国の制度上、支援の対象として明示的に位置づけられているという事実です。職歴のなさは、制度の設計者がそもそも想定している状態であって、例外的な事情ではありません。

年齢の不安をどう扱うか——制度上の線引きを事実で確認する

「もう手遅れではないか」という不安について、煽りも気休めも抜きに、確認できる事実だけを並べます。

制度・窓口公式に示されている年齢の条件
新卒応援ハローワーク学生・生徒、および学校卒業後おおむね3年以内の方
わかものハローワーク正社員を目指す若者(おおむね35歳未満)
地域若者サポートステーション15歳から49歳まで
ハロートレーニング/求職者支援制度求職者であることが基本。公式ページに年齢の上限の記載は確認できない
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)要件の一つに「60歳未満」を含む項目があるが、他の要件に該当する道もある

読み取れるのは、年齢によって使える窓口の組み合わせが変わるということであって、ある年齢で支援が一斉に終わるわけではない、ということです。たとえば35歳を過ぎるとわかものハローワークの対象からは外れますが、サポステは49歳まで、職業訓練は求職者であれば年齢上限の記載がなく、通常のハローワークの職業相談に年齢制限はありません。

また、卒業から3年以内であれば「新卒枠」に応募できる可能性についても、厚生労働省の指針が企業に対応を求めています。ただしこれは義務ではなく企業への努力要請であり、実際の扱いは企業ごとに異なります。この点は別記事で指針の原文を確認して詳しく整理しているため、該当する方はそちらを参照してください。

一方で、正直に書いておくべきこともあります。年齢と就職結果の関係について、当編集部が確認できた公的統計はこの記事の範囲にはありません。「何歳までなら大丈夫」といった数値を示す記事を見かけることがありますが、根拠が示されていない数字は判断材料になりません。確実に言えるのは、上の表にある制度上の線引きだけです。

応募先と支援サービスを選ぶときに使える情報源

求人を選ぶ段階では、企業側の情報をどう確認するかが問題になります。公的な情報源として、厚生労働省の「若者雇用促進総合サイト」があります。このサイトでは、企業の職場情報として「採用・定着状況」「残業時間、有給休暇の取得状況」「人材育成の情報」などを調べることができ、あわせて、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業として国が認定した「ユースエール認定企業」を検索できます。求人票の文言だけでは分からない職場の実態を確認する手がかりになります。

公的窓口以外に、民間の就職支援サービスという選択肢も存在します。既卒・第二新卒・フリーター向けをうたうサービスが複数あり、それぞれ対象年齢・対象地域・取り扱う求人の種類などの条件を各社の公式ページで説明しています。当サイトは特定のサービスを推奨する立場を取りません。利用を検討する場合、一般に次の点が各社の公式ページに記載されています。

これらはサービスごとに異なるため、必ず各社の公式ページで確認してください。なお、職業紹介事業者は厚生労働大臣の許可を受けて事業を行うこととされており、許可番号は各社の公式サイトに記載されています。公的窓口と民間サービスは排他的な関係ではなく、併用も可能です。

整理: 何から始めるか

ここまで確認した事実を、着手順に並べ直します。順序は状況によって前後しますが、いずれも費用はかかりません。

  1. 最寄りの窓口を調べる。 おおむね35歳未満で正社員就職を目指すならわかものハローワーク。働くこと自体への不安が先に立つ状態ならサポステ。卒業後おおむね3年以内なら新卒応援ハローワーク。
  2. 相談に行く、または電話する。 わかものハローワークは初回予約不要、サポステは電話での問い合わせから、と案内されています。
  3. 職業訓練を検討する場合も、起点はハローワークの職業相談。 受講あっせんが必要で、開講コースは地域によって異なります。
  4. 給付金の要件は世帯単位で確認する。 本人の収入だけでなく世帯収入・世帯の金融資産も要件に含まれます。
  5. 応募先を調べる段階で、若者雇用促進総合サイトの職場情報を確認する。 採用・定着状況や残業時間などを求人票と突き合わせます。

なお、これは公的情報から確認できる選択肢の並びであり、どれを選ぶべきかは個々の状況によります。当サイトは個別の判断や紹介を行うものではありません。

よくある質問

Q1. フリーターから正社員を目指すとき、最初に使える無料の窓口はどこですか?

厚生労働省は、正社員での就職を目指す若者(おおむね35歳未満)を支援する専門の窓口として「わかものハローワーク」を案内しています。公式ページには「さまざまな就職支援を無料で行っています」「初回は予約不要です」と記載されています。また、働くことに悩みを抱えている場合の窓口として、15歳から49歳までの働いていない方・就学中でない方を対象に無料で就労支援を行う「地域若者サポートステーション」があります。

Q2. アルバイトを続けながら職業訓練を受けることはできますか?

厚生労働省の求職者支援制度の公式ページは、対象となる在職者の例として「一定額以下の収入のパートタイムで働きながら、正社員への転職を目指す方など」を挙げています。訓練の受講料は無料(テキスト代は自己負担)です。ただし受講にはハローワークでの求職申込み・職業相談と「受講あっせん」が必要で、訓練ごとに選考もあるため、具体的な条件は住所地を管轄するハローワークで確認してください。

Q3. 職業訓練中に月10万円の給付金をもらえると聞きましたが、誰でも対象ですか?

職業訓練受講給付金の職業訓練受講手当は月額10万円ですが、支給には要件をすべて満たす必要があります。厚生労働省が挙げている要件には、本人の収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月30万円以下、世帯全体の金融資産が300万円以下、現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない、全ての訓練実施日に出席している(やむを得ない理由がある場合も8割以上)、過去6年以内に同給付金の支給を受けていないことなどが含まれます。誰でも自動的に受け取れるものではありません。

Q4. 職歴がないと応募できる求人がないのではないですか?

厚生労働省は「職業経験の不足などから就職が困難な求職者」を対象とした制度として、トライアル雇用を案内しています。公式ページでは、原則3か月間の試行雇用により「その適性や能力を見極め、期間の定めのない雇用への移行のきっかけとしていただくことを目的とした制度」と説明されています。対象労働者には要件があり、利用できるかはハローワーク等での職業相談で確認することになります。

Q5. 年齢的にもう手遅れでしょうか?

公的支援の対象年齢を見ると、わかものハローワークは正社員就職を目指す若者(おおむね35歳未満)、地域若者サポートステーションは15歳から49歳が対象と公式に案内されています。ハロートレーニングや求職者支援制度の対象は求職者であることが基本で、年齢の上限は示されていません。個々の求人に応募できるかどうかは各社の募集要項によりますが、公的支援の窓口が特定の年齢で一斉に閉じるという説明は確認できません。

まとめ

出典(特記なきものはすべて2026年7月21日確認)

※制度の対象条件・金額・設置箇所数は変更されることがあります。実際に利用する際は、必ず最新の公式情報および最寄りの窓口で確認してください。本記事は制度の一般的な内容を整理したものであり、個別の状況における該当性を判断するものではありません。